木枯らし1号の映画日記

映画を観た後つらつら感想並べたくなりますよね。その欲求をここで解消します。

106分間に詰め込まれた体感映画『ダンケルク』

戦争映画というものは基本的に2時間半から長いもので3時間を超える大作が多い。

戦争映画は観たいけど長いのはちょっとって言うそこのあなた。

ワガママ言うんじゃねぇ!笑ったり泣いたり出来なくしてやろうか!

 

というのは冗談。この作品の本編は106分。一般の映画にしたら少し短いくらいだが戦争映画というジャンルの中ではかなり短い方なので戦争映画初心者にもオススメしやすい。

 

なぜ短いのかは後述するとして、簡単なストーリーを。

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物語の始まりは第二次世界大戦中のフランスにあるダンケルク海岸というところ。

そこでイギリス、ベルギー、カナダ、フランスからの連合軍は敵であるドイツ軍に包囲され危機的な状況下にあった。

 

この作品は3つの物語が同時に描かれる。

1つ目。ダンケルクで戦う英国の兵士のトミー二等兵は撤退作戦中に同軍の兵士ギブソンと出会う。トミーを物語の主軸として陸軍が撤退戦をする[一週間]を描く。

 

2つ目。別の場所では民間船に乗っていたドーソンとその息子のピーターとピーターの知り合いのジョージの3人が登場。3人はダンケルクにいる英国兵士達を母国へ運ぶという国の命令を受けていた。

彼らがダンケルクに救援に向かう[一日]をここでは描く。

 

3つ目は英国軍パイロットのファリアとコリンズの2人が主軸となる空軍の戦い。

ダンケルクから陸軍が撤退しようとするがドイツの空軍に阻まれてしまう。その空軍を倒し、陸軍の撤退作戦を進めるというものだ。

空軍は[一時間]の戦いが描かれる。

 

そして本作品は1つの物語を解決させてから次の話にいくオムニバス形式ではなく、同時に3つの物語を少しずつ進めていくというなかなか無い手法になっている。

陸軍の一週間の最後の一日からは海での物語と、そしてその2つの最後の一時間は空軍の話と交わっていく。

 

お恥ずかしながら理解力に乏しいもんで初めはそれが分からなかった。なんで陸軍の話は夜の場面なのに、次の空軍の場面になったら昼間になっているんだろうって思っていたらそういうことか。

無事気づいて良かった。この映画の楽しみどころを潰すところだった…。

 

気づいてからは物語が段々と1つに繋がっていく様が観ていて面白い。陸海空、それぞれの戦いの違いや自分の置かれている状況の違いなどがよく分かる。

 

それからこのシーンは戦争映画によく描かれるグロテスクな血の描写はない。なので戦争映画は観たいけど生々しいものは観れないという人にもオススメ出来る。

それだけにその手の映画に慣れている人はどこか物足りないと感じるのかもしれないが。

 

まあそうは言ってもオープニングから主人公以外の兵士が銃弾を受け次々と倒れていくし、陸軍の乗る船が魚雷を受け、船底の部屋にいた多くの兵士達が溺死していく様子や、重油被った陸軍兵士達が海で逃げる為に泳ぐも火薬の影響で自身の身体が焼けてしまうなど戦争の悲惨さが伺えるショッキングなシーンはあるので血の描写はないものの別の怖さはある。

もちろん戦争映画は変に美化して悲惨なシーンを流さないのはおかしいと思うのであえて描くことで戦争に対する恐怖心をみんなに教えるという意味では良い作り方だと思う。

個人的には、船を着ける時に船と岸の間に挟まって圧死する兵士の断末魔が聞こえるシーンが一番キツかった…。

 

 

さて、その作品が106分という戦争映画にしては短いものになった理由。

それは一気に作品の世界に引き込ませる為、より物語を体験させる為だと思う。

え?違う?大人の事情?いやまあ今回はこういうことにしておいて。

 

この作品、始まりのシーンがさっきも書いたように陸軍兵士とその仲間達がドイツ軍から逃げるシーンなんですね。

しかもその後、戦争映画にありがちな訓練とか僕はどうして兵士になったとかそういう描写もない。

笑ったり泣いたり出来なくしてやるっていう鬼軍曹も\サー イエッサー!/と絶叫する兵士もいなくて、いきなり戦いが始まってそれがほぼ最後まで続くんですね。起承転結の【起】が抜けているような感じ。いい意味で。

多分あえてそういう描写を抜くことによって物語というよりも体験、という感覚が強くなるのではないかと。そこに重きを置きたかったのかと。

ダンケルクが劇場公開される時も映像体験みたいなこと言ってた気がする。今思えばそういうことだったのかなぁと思ったわけですね。

それなのでいつもより引き込まれた感はとても強く感じたね。

もちろん様々な思いから戦争に行くという描写も大切ですが、いつもとは違う話の運び方も1つの手法としてはありなのでは。

ちなみに陸軍の主人公のトミー二等兵は戦いで死ぬとかごめんだ、僕は生きてぇ、そしてなるべくみんなの事も生かしてぇっていう割と現代的な考えの持ち主なので、そういう意味でも共感で物語に引き込まれるというのもあるのかね。

 

時間、内容共に見やすく、だが戦争という部分もキッチリ作られていたこの映画、ちょこっと空いた二時間で観るのにもってこいの作品なのでは!

ちょこっと空く二時間なんてない?笑ったり泣いたり出来なくしてやる!

https://youtu.be/kvDxVFU5Vi4